01 SITUATION

こんな状況、ありませんか?

02 WHY

起業の準備だけでは、不十分な理由。

起業するということは、多くの場合において、
収入の構造が根本から変わることを意味します。

給与・退職金・年金という「もらう側」から、
事業収入を自ら生み出す「稼ぐ側」へ。
この切り替えは、退職金等の受取方法や年金の繰り下げ判断にも直接影響します。

 たとえば、一時金で受け取るか年金形式で受け取るかによって、税の扱いや受取時期が変わります。
 起業後の事業所得や公的年金なども含め、退職後の収支と税負担を総合的に比較することが重要です。
年金の繰り下げも、事業が軌道に乗るまでの期間を踏まえて判断すべきことです。

起業計画とお金の設計は、今後の人生の過ごし方も踏まえて、一体で考える必要があります。

03 BASICS

定年後の起業、まず押さえておきたいこと

起業の形・年金・退職金は、互いに影響し合います。基本となる考え方を整理します。

定年後の起業は、何から決めればよいですか?

起業というと「何をやるか」から考えがちですが、定年後の起業では、次の4点を先に整理しておくと、判断がぶれにくくなります。

  1. どんな暮らしをしたいか:この先の生活に必要な収入の見通しを立てます
  2. 何を、誰に提供するか:これまでの経験・スキルをどう活かすかを考えます
  3. どの形で始めるか:個人事業主として始めるか、会社を設立するかを決めます
  4. 退職金・年金をどう受け取り、どう使うか:事業資金と生活資金のバランスを考えます

1つ目と4つ目は、起業の準備を進める中で後回しになりがちですが、事業計画の前提になる部分です。

個人事業主と会社設立、どう違いますか?

どちらが正解ということはなく、事業の内容や規模の見込み、お金の設計によって適した形は変わります。年金・社会保険の面で違いが出やすい点を整理します。

SOLE PROPRIETOR
個人事業主として始める
開業の手続き
税務署への開業届など、比較的簡易な手続きで始められます。
社会保険
個人事業所では、業種や従業員数などによって健康保険・厚生年金の適用条件が異なります。適用対象とならない場合、事業主本人は原則として国民健康保険・国民年金などに加入します(年齢や加入状況等により異なります)。
年金との関係
厚生年金に加入しないため、在職老齢年金(働いて得た収入に応じて老齢厚生年金が支給停止される仕組み)の対象にはなりません。
CORPORATION
会社設立(法人)として始める
設立の手続き
定款の作成や設立登記などの手続きと、設立費用がかかります(株式会社か合同会社かで異なります)。
社会保険
法人は、代表者1人の場合でも、原則として社会保険の適用事業所となります。代表者本人の加入手続きや加入できる制度は、年齢や報酬などの条件によって異なります。厚生年金の被保険者資格は原則70歳未満です。
年金との関係
厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、総報酬月額相当額(賞与を含む)と老齢厚生年金の基本月額の合計が基準額(2026年度は月65万円)を超えると、原則として超過額の2分の1に相当する額が支給停止となります。
お金への影響
役員報酬の額が、社会保険料・税負担・年金の受け取りに影響します。

※2026年10月時点の制度に基づく一般的な整理です。個別の状況によって取扱いが異なる場合があります。
参考:日本年金機構「在職老齢年金」/厚生労働省「個人事業主の皆さま 社会保険への任意加入を考えてみませんか」

このように、個人事業主か会社設立かの選択は、年金・社会保険・税といったお金の設計と直結します。
事業の形だけを先に決めるのではなく、お金の設計とあわせて検討することをお勧めします。

退職金・年金は、起業とどう関係しますか?

退職金は、一時金で受け取るか年金形式で受け取るかによって、税の扱いが変わります。
年金は、受け取り始める時期(繰上げ・繰下げ)によって受取額が変わり、働き方によっては、上記の在職老齢年金のように年金額が調整される場合もあります。

起業後の収入と、これらをどう組み合わせるかが、手元の資金や生活の安定を左右します。
ポイントとなる事項などについて、次のページで解説しています。

退職金・DC・年金の受取戦略のポイントを知りたい →

準備から開業までの流れは?

一般的な流れは次のとおりです。事業の内容や、個人事業主か会社設立かによって、細かい手順は変わります。

  1. 退職前:ライフプランと必要な収入を整理し、事業アイデアを検討します
  2. 準備期:事業計画・収支計画を作成し、開業の形(個人事業主・会社設立)と資金計画(退職金・自己資金・借入)を決めます
  3. 開業時:開業届や設立登記、社会保険・税務の手続きを行います
  4. 開業後:売上と資金繰りを確認しながら、計画を見直します

退職金の受取方法のように、退職前に決めておく必要があるものもあるため、準備は早めに始めることをお勧めします。

04 DATA

データで見る、新規開業の実態

日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」から、これから起業する方の参考になるデータを紹介します。

81.1%
現在の事業に関連する仕事の経験(斯業経験)がある開業者の割合
管理職経験がある方は66.4%。多くの開業者が、これまでの実務経験を土台にしています。
56.9%
開業時に苦労したこと 第1位「資金繰り、資金調達」
続いて「顧客・販路の開拓」49.9%、「財務・税務・法務に関する知識の不足」36.4%(三つまでの複数回答)。
975万円
開業費用の平均(中央値は600万円)
「250万円未満」が20.1%、「250万~500万円未満」が21.7%。事業によって幅があります。
74.8%
開業に「満足」している開業者の割合
「仕事のやりがい」は84.4%が満足、「事業からの収入」は28.3%。

開業者の年齢は、50歳代が21.8%、60歳以上が6.4%で、平均年齢は43.9歳でした。

この調査は定年後の起業に限ったものではありませんが、「資金」と「財務・税務・法務の知識」が、開業時の大きな課題になっていることがわかります。
事業に充てる額と、生活のために残す額を、退職金・年金の受取方法とあわせて最初に整理しておくことが大切、とも言えるかと思います。

※調査対象は、日本政策金融公庫が2024年4月~9月に融資した、融資時点で開業後1年以内の企業です(回答2,165社)。
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表)

05 HOW TO

「定年後の起業とお金」整理の進め方(概要)

ここまでの「基本」を、ご自身の状況に当てはめて具体化していく流れです。必要なステップのみの個別対応も可能です。

06 FAQ

よくある疑問

まず「この先、どう過ごしていきたいか」というライフプランの整理から始めることをお勧めします。
起業の計画と退職金・年金等の受取戦略は密接に関連しているため、起業準備だけを先行させると、後からお金の設計が合わなくなることもあります。

はい、影響する場合があります。
起業後の収支見通しに応じて、最適な年金の受給時期や退職金の受取方法(一時金か年金形式か)などが変わりますし、税負担に差が出てきます。これらを一体で設計することが重要です。

むしろ定年前からの相談を強くお勧めします。
退職金の受取方法や年金の受給時期は、制度によって手続きや選択のタイミングが異なります。退職後に慌てないよう、早めに確認・検討しておくことをお勧めします。

起業計画とお金の設計は相互に影響するため、それぞれを別の専門家に相談すると、全体像が一致しないまま進んでしまうリスクがありえます。
中小企業診断士とFPの両面を持つ専門家にワンストップで相談するのが、より効率的と言えるかと思います。

まずは年金の受給時期や見込み額を含めた収支の見通しを立て、そのうえで開業資金や当面の生活費をどこまで手元に確保しておくかを整理することをお勧めします。
個人事業主として小さく始めるか、会社設立まで見据えるかによっても、準備すべき内容は変わってきます。

退職金や貯蓄をどこまで事業に充てるか、生活費として残すかのバランスが重要です。
事業が軌道に乗るまでの期間を見込んで、年金の受給開始時期と合わせて資金計画を立てることで、無理のないスタートが切りやすくなります。

どちらが正解というより、退職金・年金の受取方法や事業規模の見込みによって適する形が変わります。
個人事業主は開業までの手続きが簡易な一方、会社設立は社会的信用や税制面でのメリットが出る場合があります。
ここもお金の設計と切り離さず、あわせて整理することをお勧めします。

はい、年齢を理由に会社を設立できない、ということはありません。
ただし、会社設立には登記などの手続きと費用がかかり、代表者1人の会社でも社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになります。事業の見通しとお金の設計をふまえて、個人事業主として始める場合と比べて判断することをお勧めします。

はい、年金を受け取りながら起業すること自体はできます。
ただし、働き方によって年金の扱いが変わります。老齢基礎年金は、働いても減額されません。一方、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、総報酬月額相当額(賞与を含む)と老齢厚生年金の基本月額の合計が基準額(2026年度は月65万円)を超えると、原則として超過額の2分の1に相当する額が支給停止となります。個人事業主として厚生年金に加入せずに働く場合は、この仕組みの対象外です。

創業向けの融資制度の中には、年齢の上限を設けていない制度(新規開業・スタートアップ支援資金など)や、シニアの起業家を支援する関連制度もあります。
利用できるかどうかや条件は、事業計画や返済の見通しなどをふまえた審査と、最新の制度内容によります。公庫などの案内もあわせてご確認ください。

08 CONTACT

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